1.自分のがんはどんながんか?
がんと診断されたら、それがどんながんなのか、しっかり向き合いましょう。自分のがんについて知ることは、納得出来る治療を設計する上で欠かせません。
がんは状態、部位、悪性度によって千差万別
がんという病気は千差万別です。腫瘍なのか血液のがんなのか、肺がん、大腸がん、乳がんというように部位がどこなのか、扁平上皮がん、腺がん、肉腫といった由来組織がどうなのかというように、様々な種類があります。細胞の性質を調べれば、いわゆる悪性度の違いもわかります。とはいえ、一般の患者にとって重要なのは細かいがんの性質ではなく、自分のがんが早期がんか進行がんか、そしてどんな治療法が適しているのかということでしょう。
それぞれのがんに最適な治療を
手術という治療法から見ても、様々な考え方が出来ます。腫瘍が一箇所に小さくまとまっていて、手術で取れそうながんは、それだけでほぼ治療が済むことが期待出来ます。一方、手術の難しい部位にあるなど、放射線のような別の治療法が適しているがんもあります。白血病のように手術は出来ないけれども抗がん剤がよく効くがんもあります。医師は基本的に最適と考えられる治療法を提案してくるので、先入観を持たずに聞いておきましょう。
早期がんと進行がんの治療の違い
早期がんか進行がんかは治療選択においても大きな分岐点となります。進行がんとは既に離れた部位に転移しているがんや、周囲への浸潤が著しいがんのことです。これを治療するには、全身療法が必要です。転移がんには手術や放射線のような局所療法(患部だけを叩く治療法)は適しません。原発巣(最初に出来たがん)を治療することによって、転移しているがんがさらに暴れ出すことが、経験的にわかっています。治療による傷を修復しようとする信号が、がん細胞の増殖も促してしまうからです。
保険診療では抗がん剤を補完出来ない
標準治療、いいかえれば保険診療以外の選択肢を探すかどうか。進行がんかどうかはその分かれ目でもあります。標準治療における全身療法は通常、抗がん剤による化学療法になります。抗がん剤はがんとの戦いでは重要な武器です。しかし、延命が主な目的であり、免疫力を低下させ、いずれ薬剤耐性が出てくるなどの問題もあります。その限界を補う治療法は、保険診療の範囲にはありません。先端治療として行われている免疫療法などを、上手に組み合わせていく必要があります。
残された時間はどれくらいか
がん治療は時間との戦いでもあります。余命や5年生存率を告げられた場合は、それも自分のがんを知る参考になります。しかし、それはあくまでも保険診療の範囲での話です。がんの治療法はいろいろあり、自由診療で行われている先端治療を受けるのは、患者の自由です。がんと診断されたら、まずやるべきことは情報集めです。自分のがんをよく知り、最適の治療設計を考える上で不可欠なことです。