6.最後は緩和医療しかないのか?
がん治療の終末期になると、出来るのは心身の苦痛を和らげる緩和医療だけになります。この段階で他の方法を考えても意味はありません。考えるならもっと早くということです。
心身の苦痛を和らげる緩和医療
緩和医療は「緩和ケア」ともいわれ、患者の心身の苦痛を緩和する医療のことです。がんの患者にはがん自体の治療とは別に痛みや倦怠感を和らげる体のケアや、落ち込み・悲しみなどに寄り添う精神的なケアが求められます。そうした心身のケアは本来はがんと診断された時から行われることが望ましいといえます。
終末期に出来るのは緩和医療だけ
心身の苦痛を和らげる緩和医療は、厳密には終末期医療(ターミナルケア)とは概念が異なります。しかし、終末期医療で行えるケアは、実質的に緩和医療のみになるため、一般にはほぼ同一視されています。終末期医療では余命わずかとなった患者さんの延命治療を止め、出来るだけQOLを高く保って、尊厳ある最期を迎えられるように、心身の緩和ケアに努めます。
ホスピスのことで悩むのは無意味
終末期医療というとホスピスを連想する方が多いと思います。ホスピスというのは緩和医療、または終末期医療を行う場のことです。「最期はホスピスで」という言葉をよく耳にしますが、病院から完全に独立したホスピスというのはあまりなく、大きな病院に緩和ケア病棟やフロアが設けられているのが一般的です。また、一般病棟や自宅などもホスピスの場になりえます。病院の緩和ケアは患者さんに適した場ならどこでも同じレベルで提供されますから、ホスピスに入れなかったらどうしようかという心配はいりません。
標準治療の終着点は緩和医療
余命が十分あって元気なうちなら、考えたいのはホスピスに行かなくても済むような治療を受けることです。多くの進行がんの患者は最終的に終末期医療を受けることになります。標準治療は進行がんを治せないという前提で進められます。そのレールの上で延命のための治療を受けていたら、終着点がホスピスであることは、最初からわかっていることです。
標準治療の補完は早めに
いつまでも生きていたいなら、延命を目的とした標準治療だけに、身を任せず、完治の可能性を高める治療法を探し、標準治療の限界を補うという発想が必要です。診断後、治療開始前、手術直後など、タイミングが早いほど、多くの可能性が広がるはずです。