2020-12-02
犬のがんにも免疫チェックポイント阻害剤が開発される
がん細胞に抑制された免疫を回復させるのが、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤です。
悪性黒色腫の治療を変えたオプジーボ
ヒトと同じように犬にもがんが出来ます。中でも皮膚がんの一種である悪性黒色腫は、口腔内に出来た場合、進行が速く、予後がよくありません。実は、この悪性黒色腫はヒトにおいても近年までこれといった治療がありませんでした。その状況を大きく変えたのが、オプジーボの登場です。オプジーボはまず悪性黒色腫の治療薬として承認され、その後、小細胞肺がんや腎臓がんなど様々ながんにも使えるようになりました。オプジーボは免役チェックポイント阻害剤のひとつで、従来の抗がん剤とは全く異なる作用機序で作られています。
がん細胞は免役細胞の邪魔をして生き延びる
私たちの体内では常に免疫というシステムが異物を排除しています。がん細胞もその対象です。しかし、がん細胞は生き残るために、様々な手段で免疫細胞の攻撃を逃れます。そのひとつとして免疫細胞の一種であるT細胞表面にある免疫チェックポイントという部分に働きかけ攻撃を出来なくしてしまうのです。この妨害を出来なくすることでT細胞に本来の攻撃力を回復させるのが、免疫チェックポイント阻害剤なのです。山口大学のグループは、犬の悪性黒色腫の治療薬を開発し、臨床検査では良好な結果を確認しています。実はこの治療薬はオプジーボと同じ仕組みの免疫チェックポイント阻害剤です。今後も臨床検査を重ね、実用化を目指していく予定です。
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