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2020-10-29

なぜ、緩和ケアに希望を見い出せないのか?


緩和ケアはQOLを上げ、余命を延長する効果もある重要なことです。しかし、否定的なイメージがあることも否定出来ません。

標準治療を終えたら緩和ケアしかない
がんが進行し、ガイドラインに定められた治療の効果がなくなると、標準治療は終了です。後は保険診療では緩和ケアくらいしか行われません。最近では標準治療が終了した患者には、がん遺伝子パネル検査が保険適用となり、部位別ではなく遺伝子の変異という観点から自分に合った分子標的薬を探せるようになりましたが、選択肢が見つかる可能性は高いとはいえず、また仮に見つかったとしても多くの場合、保険診療では使えません。そして、緩和ケアも死を待つだけという否定的なイメージを払拭出来ずにいます。

進行がんの完治を目指していない標準治療
結論からいえば、緩和ケアは非常に重要なことです。痛みなどの不快症状や副作用をなくすことで、QOLは飛躍的に上がり、それが余命の延長に繋がることもあります。また、ステージ4や末期の患者でなくても緩和ケアは積極的に受けるべきです。問題の本質は緩和ケアの是非にあるのではなく、進行してしまったら延命がゴールになってしまう標準治療の目的自体にある。誰しも望むことは完治であり、再び元気になることです。がんが進行した状態で見つかり、まだ健常者と同じように暮らしているのに、治療はもう出来ないといわれて絶望する方もいます。がん患者の多くは、その時になってこの事実を知ります。たとえ険しい道でもゴールを目指せるのとゴール自体がないのでは、大きな差があります。標準治療は、確かに科学的根拠と実績に基づく優れた治療です。しかし、進行がんを完治させることは、単独では困難であることと、真摯に向き合い、そこを補完することに取り組むべきでしょう。

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