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2020-11-02

光免疫療法への期待と課題 1


間もなく保険診療で受けられる光免疫療法の長所についてまとめてみました。

がんをピンポイントで叩けて、副作用が少ない
光免疫療法に使用する薬剤と機器が、厚生労働省から承認されました。年内にも薬価収載され、保険診療で受けられるようになりそうです。対象となるのは切除不能で局所再発、もしくは局所進行の頭頚部がんです。光免疫療法は、光(近赤外線)に反応する色素を、抗体(分子標的薬)を利用して、がん細胞に取り込ませた後に、光を照射します。光に反応して、色素は発熱し、がん細胞を内側から破壊します。分子標的薬は、がん細胞に特異的な蛋白質を目印に作用する薬です。既存の抗がん剤(殺細胞剤)は、がん細胞が正常細胞よりも頻繁に分裂する性質に着目し、分裂中で剥き出しのDNAを傷害して破壊します。分裂中であれば正常細胞まで攻撃するのに対して、分子標的薬はがん細胞に効率よく作用して、分裂を抑制するので、抗がん剤程の攻撃力はありませんが、副作用は穏やかです。光免疫療法はこの分子標的薬の攻撃力をアップさせたと考えていいでしょう。手術のしづらい部位のがんを、ピンポイントで叩けるため、手術で機能障害や容貌の変化が懸念される頭頚部がんに向いているといえるでしょう。また、色素の発熱でがん細胞が破壊されると、それを呼び水に全身の免疫細胞が刺激され、がん細胞への攻撃をはじめるため、局所療法であると同時に全身療法としての性格も持っています。

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