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2020-07-08

再生医療の行く先は、第三者からの移植


がんの再生医療は、基本的に患者自身の免疫細胞を培養する自家移植で行われています。

他家移植による再生医療の治験が国内で実施
新型コロナウイルスに感染し、重篤な肺炎を起こした患者に対して、第三者の脂肪から培養した間葉系幹細胞を移植する治験が、8月に開始されることになりました。新型コロナウイルスの感染症が悪化すると、免疫刺激物質であるサイトカインが過剰に分泌され、サイトカインストームを起こし、免疫細胞が自らを攻撃する危険な状態になります。幹細胞の移植はこれを抑制するとされています。また、メキシコでは同様の治験をがん免疫治療を手がけるテラが行っています。

NK細胞は他家移植でも問題ない
これらの治験で注目すべきことは、新型コロナウイルスによる感染症の改善だけでなく他家移植であることです。再生医療においては他家移植は第一種再生医療とされ、厳格な制約があります。特に国内で治験が行われることは、大きな前進といえるでしょう。がん治療では患者の免疫細胞を体外で培養し、がんに対する攻撃力を高めてから投与する免疫細胞療法が、第三種再生医療として行われています。ただ、がんが進行して、免疫抑制が極めて重い状態や、抗がん剤を何クールも投与して、免疫細胞が弱った段階で、免疫細胞療法を受けることが多く、体外で培養しても、質や量に限界があることが多いのが難点です。因みにNK細胞は第三者のものであっても拒絶反応やアレルギーを起こすことなく、がん細胞を攻撃します。また、第三者のNK細胞を利用出来るなら、培養で待たされることもありません。若い方や健常者のNK細胞の攻撃力は、がん患者のそれを大きく凌ぎます。がんの再生医療も、行く先は他家移植なのでしょう。

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