2024-07-09
肺の中を泳ぎ回り、抗がん剤を効率よく投与出来る微小なロボット
手術だけでなく抗がん剤においてもロボットに期待が寄せられています。
マウス実験で効果を確認
手術の領域では手よりも精密かつ正確な作業の出来るロボットが普及しつつありますが、抗がん剤の投与に関してもロボットが注目されています。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究で肺の中を泳ぎ回り、抗がん剤をがん細胞に直接送り届ける微小なロボットが、肺転移のある悪性黒色腫のマウスにおいて、生存期間を延長することを確認しました。この研究で使われたロボットは、ドキソルビシンを充填したナノ粒子を、遊泳能力のある緑藻の細胞表面に結合させたものです。ドキソルビシンの入ったナノ粒子は、赤血球膜でコーティングされており、赤血球のように見えることで、免疫によって排除されることなく、がん細胞に届けられます。肺転移したメラノーマのマウスの体内に気管からこのロボットを送り込んだところ、平均生存期間は、未治療のマウスでは27日であったのに対して、37日に延長していました。ロボットの能動的な遊泳が、肺の深部まで抗がん剤を行き届かせると同時に、滞留時間を延長したことが奏効しているとし、また効率をよくすることで、抗がん剤の量を減らし、副作用を抑えることに繋がるのではないかと期待しています。
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