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2024-05-01

承認薬の効果検討を含めた個別化がん治療が有望な結果に

がんの個別化医療には正確さと同時にスピードも求められます。

ゲノム解析と薬剤感受性検査を併用

がんは、細胞分裂の際に遺伝子が正常に複製されず、それが積み重なった結果、無秩序に増殖していく細胞が生まれた結果です。そして、近年ではゲノムの解析が進み、この遺伝子の異常を把握することで、がんの性質を明らかにし、的確な治療を行う個別化が進みつつあります。米国では腫瘍や血液から採取したがん細胞を調べることで、多ければ125の承認薬について効果を予測出来る手法が開発され、フロリダ国際大学での研究で有望な成績を収めています。個別化治療で最も多く使われている手法は、患者のがん遺伝子のパネル検査です。がんに関連する複数の遺伝子を調べるこのやり方は、時間とコストがかかります。また、その結果、効果が期待出来る分子標的薬に辿り着く割合は1割程度といわれます。フロリダ大学の手法においてもゲノム解析は行われますが、患者の血液や腫瘍から集めた生きたがん細胞を使って、承認薬の効果を判断する薬剤感受性検査も含まれます。この研究では再発及び治療抵抗性の固形がんや血液がんの小児患者25例が対象となり、そのうち、21例が薬剤感受性検査で篩にかけられ、20例はゲノム解析も行いました。薬剤感受性検査の結果判明までの中央値は血液がんで9日、固形がんで10日。ゲノム解析の結果判明までの中央値は約27日でした。最終的に6例が薬剤感受性検査とゲノム解析の両方に基づく治療を受け、そのうちの5例は奏効し、無増悪生存期間は前治療を1.3倍上回りました。また、D薬剤感受性検査とゲノム解析に基づかない治療を受けた8例にも勝りました。

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