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2023-06-01

ケトン食が、進行がん患者の生存期間を劇的に改善


高脂肪で炭水化物を制限するケトン食を継続することで、進行がん患者の生存率を劇的に改善することを、大阪大学のグループが確認しました。

近年、注目されているケトン食

大阪大学の研究グループは、がん患者向けのケトン食療法が、12か月以上の長期継続により進行がん患者の生存期間を改善することを確認しました。ケトン食は、高脂肪で炭水化物を制限した食事により、体がケトン体を作り易くします。ケトン体は、本来は飢餓の際、エネルギー源として生成されますが、中鎖脂肪酸などを摂取することで、カロリーを維持しながら、肝臓で生成されることが明らかになりました。近年、高脂肪・低炭水化物であるケトン食が、がん治療において有力な支持療法になり得るのではと期待されています。研究ではがん患者向けの新たなケトン食を開発し、2013年より進行がん患者を対象にケトン食療法の臨床研究を開始し、2020年には有望な臨床効果を報告しました。しかし、長期継続による進行がん患者の生存期間延長への効果は不明だったため、観察期間を2022年3月まで3年間延長し、長期的なケトン食が患者の生存に影響するかどうかの検証を行っています。調査への参加者55名のうち、データが不十分な2名を除く53名の患者において、ケトン食の実施期間と影響を評価しました。53名の患者をケトン食の継続期間により12か月以上群と12か月未満群に分けて、解析を行いました。継続期間の中央値は、12か月以上群で37か月、12か月未満群で3か月であり、期間中に53名中41名の患者が死亡し、その内訳は、12か月以上群21名中10名、12か月未満群32名中31名、全患者の生存率の中央値は19.9か月で、12か月以上群で55.1か月、12か月未満群で12か月でした。12か月以上群は、12か月未満群と比較し、劇的に生存率が改善しています。

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