2021-10-20
冬虫夏草の成分から新たな抗がん剤が開発される
昆虫に寄生するキノコ「冬虫夏草」は、漢方の生薬の材料として知られています。
抗がん剤として使う上での3つの問題点を解決
セミの幼虫などに寄生するキノコ「冬虫夏草」は、漢方の生薬に用いられ、コルジセピンという抗腫瘍成分を含有していることもわかっていました。しかし、コルジセピンはヌクレオシド類自体で、これをがん細胞に送り届けるには、ヒト由来平衡ヌクレオシド受容体1が必要でした。また、アデノシンキナーゼというリン酸化酵素によって活性化されて、抗腫瘍効果を発揮出来るという性質がありました。また、コルジセピンは血中では代謝酵素であるアデノシンアミラーゼにすぐ分解されてしまうという問題もありました。そこで、英国のオックスフォード大学のグループは同国の製薬会社であるニューカナと共同で研究を進め、コルジセピンを元に、直接がん細胞に届き、そのまま抗腫瘍効果を発揮し、さらに血中でもすぐに分解されることのない抗がん剤「NUC-7738」を開発しました。専門誌に掲載された論文では、NUC-7738がコルジセピンの7〜40倍の抗腫瘍効果を発揮し、様々なヒトのがん細胞をアポトーシスに誘導することが明らかにされています。
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