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2019-12-02

がんを理解しなければ、適切な治療は選択出来ない

早期がんと進行がんでは治療が全く異なってきます。

抗がん剤に疑問を感じて、治療を模索
膵臓がんがかなり進行した状態で発見された患者の話です。遠隔転移はないもののリンパ節はもちろん、周囲の臓器に広がっており、既に手術は出来ない状態でした。主治医からは抗がん剤による全身治療を支持され、何クールか続けましたが、副作用がつらいのと、抗がん剤では完治を望めないということを知り、自分に合った治療を探していました。抗がん剤でがんが大きくなるのは抑えられていますが、抗がん剤はいつか薬剤耐性が生じて使えなくなります。まだ抗がん剤をはじめて日が浅く、抗がん剤の治療を行っていない時は、普通に元気に暮らせていますが、がんを抑え込むために、余命を縮めているような思いに駆られていたのです。

手術が出来なければ粒子線で
標準治療では抗がん剤しか選択肢がないので、この患者はセカンドオピニオンを聞いたり、本やインターネットで調べたりした結果、粒子線治療を行うことにしました。先進医療をカバーするがん保険に入っていたため、約300万円の費用が支払われたことも幸いでした。粒子線は通常の放射線よりも患部にピンポイントで照射出来、正常な部位への影響が少ないという長所があります。手術が出来ないといわれた膵臓のがんを小さくしたり消したり出来る可能性はあるでしょう。粒子線治療が出来ると決まった時、かなり安堵した表情でした。

進行したがんには全身治療が必須
しかし、忘れてはならないのは、優れた粒子線治療といえども局所治療です。手術が出来ないくらいがんが進行しているということは、がんが画像では確認出来なくても、全身に散らばっていることを意味します。膵臓のがんが仮に消えたとしても、そこで安心せずに、体内に存在する無数のがん細胞を叩く全身治療が不可欠なのです。局所に止まる早期のがんと、全身に広がった進行がんでは、治療に対する考え方が全く異なってきます。そこを正しく認識しなければ、自発的に治療を考えたとしても、適切な治療には行き着きません。

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