2019-05-20
保険診療で受けられるキムリアは免疫細胞療法
CAR-T「キムリア」がいよいよ保険収載されます。
がん征圧の鍵は免疫だと認識されるようになった
患者のT細胞の遺伝子を改変し、がん細胞への攻撃性を高めて培養するCAR-Tは、国内でもキムリアが承認され、今月22日には保険収載されます。西洋医学では長い間、人為的にがんを排除するという考え方で、治療が行われてきました。手術で切除し、放射線で焼き、抗がん剤で殺す──標準治療の柱である三大治療もその考え方に基づいています。しかし、全てのがん細胞を排除することは不可能で、特に生き延びたがん幹細胞が再発や転移を引き起こすことが、がんで亡くなる方が、なかなか減らない原因といえます。近年、がんの発症を防いでいるのは、免疫のお陰であり、がん征圧の鍵が免疫を回復させることだと認識されるようになりました。免疫細胞を体外で培養して戻す免疫細胞療法は、患者自身の免疫を直接増強するやり方といえます。
免疫細胞療法が正しく評価される端緒に
CAR-T、そしてキムリアは免疫細胞療法です。免疫細胞療法は、NIH(米国立衛生研究所)が大規模な臨床試験で効果を確認したLAK療法を起源として、国内では様々な形で自由診療として行われてきました。しかし、その多くはがん細胞を攻撃するには不十分であり、免疫細胞療法全体に偏見を持たれる原因になっていました。免疫細胞療法であるキムリアが保険診療で受けられるようになり、真っ当な免疫細胞療法が正しく評価されるのを期待したいところです。
関連記事