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2018-08-22

日米に先んじてゲノム編集でがんを治療する中国

近年、急速に発展を遂げた中国。がん治療の分野でも日米に追いつき追い越せとばかりに、ゲノム編集に取り組んでいます。

我が国でもがんゲノム医療を推進
がんは遺伝子の病気であることは周知されてきました。遺伝子のトラブルで細胞分裂の際に正常なコピーが行われず、がん化した細胞が増えた結果、大きな悪性の腫瘍になっていくわけです。がん征圧のため、その根本からアプローチしようと、我が国ではがんゲノム医療が推進されて、国立がん研究センター中央病院などでは先進医療として行われるようになりました。患者の遺伝子の異常を把握しすることで、がんの性質を明らかにして、抗がん剤や分子標的薬の効果を予測し、治療の選択に役立てようということです。

将来は遺伝子でがんを治療する時代に
この遺伝子へのアプローチがさらに進めば、遺伝子の異常を修復する治療になっていくでしょう。がん関連遺伝子を修復すれば、体内にはがん細胞の発生を防いだり、既に発生したがん細胞を排除する仕組みがあるので、自然にがんが治っていくはずだからです。近年、クリスパー・キャス9というDNAの任意の部分を切り取ったり置き換えたりする技術が開発され、これを基にしたがん治療が研究されています。米国では今年になって臨床試験の募集がはじまりましたが、規制の少ない中国では既に多くの患者が治療を受けています。

ゲノム編集は、完全に安全とはいいきれない
クリスパー・キャス9はまだ開発途上の技術であり、これによってがん化のリスクが高まるという研究があります。保険診療が主流の我が国では、ゲノム編集の効果と安全性が確認され、誰もが治療を受けられるようになるまでには、まだ相当な時間がかかるでしょう。一部の医療機関では自由診療として異常な遺伝子や欠損している遺伝子を補う治療が行われていますが、明確なエビデンスはありません。中国、米国、日本と国が違えば、治療に対するハードルの高さも異なります。それが実現のスピードに反映されているのは事実ですが、リスクは比例することは忘れてはなりません。

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