toggle
2018-05-30

科学的根拠ははっきりしている丸山ワクチン

医薬品としての承認は受けていませんが、40年以上、40万人以上の患者に使われてきた丸山ワクチン。その作用機序が明らかになっています。

丸山ワクチンは「夢の新薬」の草分け
丸山ワクチンといえば「夢の新薬」の草分けのような存在です。結核菌から抽出したリポアラビノマンナンという多糖体、核酸、脂質が主成分であり、当初は皮膚結核の治療薬として開発されましたが、やがてがん治療にも効果があるという論文が出され、昭和40年代には大きな話題となったのです。その後の検証では明確な効果が確認されるに至っていないため、いまだに承認はされていませんが、熱烈な支持者によって有償での治験という形で40年以上、40万人以上の患者に使用されています。

結核菌の周囲にある脂肪酸が、樹状細胞を活性化
今月、日本医科大学の高橋秀実教授は講演でこの丸山ワクチンの作用機序を明らかにしたと発表しました。結核菌の周囲にあるミコール酸という脂肪酸が、免疫細胞の情報伝達を行う樹状細胞の働きを活性化するというのです。結核菌という尋常でない異物の抽出物を投与するわけですから、免疫は刺激されます。科学的根拠は最初からはっきりしているわけです。ただ、程度の問題であり、免疫が抑制されているがん患者に対しては、相当な強さでの刺激が求められます。効果の有無はそのあたりでも左右されるのでしょう。

昔、丸山ワクチンが「ただの水」と否定された理由
かつて丸山ワクチンの製造を行っていたのは第一製薬でしたが、製造といっても開発を行っていた日本医科大学から送られてくる原液を希釈するだけでした。それでも第一製薬は様々な検証を行い、効果があるという結論には至ったのですが、当時の技術では成分を詳らかにすることが不可能であり、品質を管理しきれないという理由で、製造を中止し、現在の製造元であるゼリア新薬へと引き継がれたのです。一時、丸山ワクチンを否定する表現として、「ただの水」という表現が使われましたが、そのような経緯から使われたのでしょう。当時の技術では丸山ワクチンと「ただの水」を区別することは無理だったのです。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事