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2018-03-07

治らない湿疹・肌の赤み。もしかして「ニキビダニ」が原因かも


2011年11月に子宮頸がんを患っていることを公表した女優の古村比呂さん。がんの治療後、顔の赤みと湿疹に悩んでいるとTV番組で告白して話題になりました。専門医の診察を受けたところ、この湿疹の原因がニキビダニだったことが判明。このニキビダニは肌の免疫力が低下すると異常繁殖します。がん治療中の方にとって他人事ではありません。

短いほうがデモデスク・ブレビス、長いほうがデモデスク・フォリキュロラム。0.1~0.4㎜ほどの長さ

ニキビダニとは 
ニキビダニ科に属するデモデスクと総称されている毛嚢虫のことです。90万人以上の皮膚を調べた結果、成人の97.68%にこのニキビダニが存在することがわかっています。ニキビダニはヒトの顔面の毛包や皮脂腺に寄生して、鋭い口で毛根や皮脂腺の栄養を吸い取り、夜になると毛穴から這い出してきては、排泄物や抜け殻で皮膚を汚します。死ぬ時に出る有害物質は、赤みの原因に。皮膚科に通ってもなかなか治らない皮膚トラブルが、ニキビダニ対策で改善したという例は少なくありません。

ニキビダニはまつ毛の毛穴にも生息している
最近、皮膚科医師がまつ毛の根元に生息するニキビダニを発見しました。これは度重なるつけまつ毛、まつげエクステによるダメージやアイメイクの落とし残しによって増加したと考えられます。ニキビダニには毛根部分に生息するタイプと、皮脂腺の中に生息するタイプの2種類があり、まつ毛ダニは前者のタイプに分類されます。

ニキビダニ性の湿疹にはこんな特徴が

  • かゆい
  • 赤い
  • 乾燥する
  • ニキビのようだが芯がない
  • おでこや鼻、顎といったTゾーン、胸、背中、頭皮など皮脂が多いところに発生する
  • 頭皮のフケやかゆみ、脱毛

 ニキビダニ性の皮膚疾患を得意とする皮膚科があるので、心当たりがあれば一度受診をお勧めします。

免疫力の低下が大繁殖を招く
ニキビダニは誰の皮膚にも生息します。適度に存在するうちは問題ありませんが、免疫力が低下すると、肌に異常を起こすほど大繁殖してしまいます。肌の免疫力の低下の原因としては間違ったスキンケア、抗がん剤や分子標的薬、ステロイドなどの副作用、加齢、睡眠と栄養の不足、腸内環境の悪化、不衛生な環境などが挙げられるでしょう。十分な睡眠と栄養補給、寝具や衣服のこまめな洗濯、正しいスキンケアが改善には不可欠です。

今すぐ出来るニキビダニ退治対策 

◇洗濯


枕カバーやシーツ、タオルケット、毛布、タオル、肌着、寝間着など、直接肌に触れる衣類はこまめに洗濯します。家族間のタオルの使い回しはいけません。ダニは高温に弱いので、可能なら乾燥機で50度以上の温度で乾燥するとよいでしょう。コインランドリーの大型乾燥機には乾燥温度70度という高温のものもあります。毛布やタオルケットなど大きなものを乾燥させる際は利用してみるといいでしょう。


◇洗顔・入浴

夜行性であるニキビダニは就寝中に毛穴から這い出し、朝方に毛穴へ戻る習性があります。ファンデーションや酸化した皮脂を体に付着させた状態で毛穴に潜ると、それが毛穴の詰まりやニキビの原因になるので、就寝前は特に丁寧な洗顔・入浴が必要です。しかし、洗い過ぎは禁物。余計に皮膚バリアを破壊して、肌の免疫を下げてしまいます。添加物や刺激になる香料など、余計なものを使用していない天然素地から作られた石鹸を選び、優しく洗いましょう。肌に穏やかなニキビダニ専用の天然ソープも市販されています。

樹木などが発生させるフィトンチッドの抗菌・防虫作用に注目して開発されたA・I・D溶液を配合。石鹸素地は天然材料で、香料・パラベン・人工着色料・酸化防止剤などの添加物は不使用。薬用AIDフォーム (株式会社フィジカル・医薬部外品)※画像はライター私物

ソープを泡立て、こすらないよう優しく肌を洗った後は、泡で20秒ほどパックして洗い流します。体の洗い方も同様です。

頭皮が気になる場合は、普段使っているシャンプーに石鹸や洗顔フォームを混ぜたり、代用したりという方法もあります。直接石鹸を髪につけるのではなく、必ず洗面器や手のひらでよふわふわに泡立ててから洗髪してください。髪を洗うというより、頭皮を洗うことを意識してください。洗顔と同様、20秒ほど時間を置きましょう。直接髪に石鹸をこすりつけると石鹸かすが残り、毛穴詰まりを悪化させます。すすぎはしっかりと行ってください。石鹸による洗髪は軋みがありますが、弱酸性のリンスやコンディショナーで補えます。コンディショナーは地肌につけないように気をつけましょう。

◇バランスのよい食事

肌を健康に保つ上で、バランスのよい食事は欠かせません。肌だけではなく全身の免疫を上げるようなバランスのとれた食事を心がけましょう。栄養の吸収をよくすると同時に、免疫細胞を活性化するためにも、腸の健康が大切です。食物繊維や乳酸菌、発酵食品などを積極的に食べましょう。その他、以下の栄養素も重要です。

肌に栄養を届ける血液と血流のために:鉄、ビタミンE

肌のターンオーバーを正常にするために:ビタミンA・ビタミンC・亜鉛・蛋白質

炎症を抑えるために:オメガ3系の必須脂肪酸(アマニ油・エゴマ油・シソ油・青魚など)

特にがん治療中の方は、絶えず体の中に炎症があることで、慢性的なビタミンC不足に陥っていることがあります。サプリメントや高濃度ビタミンC点滴などでこまめに摂取するようにしましょう。オーソモレキュラー療法を行っているクリニックでは、3万円前後の費用で栄養解析の血液検査が受けられます。この検査では自分の体にどの栄養素が不足しているかを、医師の診察を通じて知ることが出来ます。

今回、取り上げた改善方法は、皮膚トラブルの原因がニキビダニではなかった際でも、健やかな肌作りには有効な手立てです。健やかな皮膚のために出来ることから習慣にしてみてはいかがでしょうか。

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