toggle
2018-01-15

がん幹細胞を目覚めさせて攻撃し、再発を防ぐ

抗がん剤は分裂中の細胞を攻撃しますが、再発や転移の原因となるがん幹細胞は、通常は冬眠状態にあり、抗がん剤の攻撃が届きませんでした。

がん幹細胞の分裂を止めている遺伝子「Fbwx7」
抗がん剤は分裂中の細胞のDNAをばらばらにして破壊します。ところが、がん細胞の中にはがん幹細胞という再発や転移の原因になる細胞があり、通常のがん細胞のように頻繁には細胞分裂をせず、いわば冬眠のような状態にあります。抗がん剤を何度か投与しても、がん幹細胞は生き残ってしまうわけです。このがん幹細胞の冬眠に深く関わっている遺伝子「Fbwx7」を発見したのが、九州大学の中山敬一教授です。Fbwx7はがん幹細胞の増殖にブレーキをかけていました。

Fbwx7を破壊すると、抗がん剤でがん幹細胞まで死滅
そこで、中山教授はFbwx7を破壊して、がん幹細胞が分裂出来る状態にすれば、抗がん剤ががん幹細胞を攻撃出来るのはないかと考え、マウスで実験を行いました。白血病のマウスにイマチニブという抗がん剤を投与すると、がん細胞は殆どが死滅しましたが、投与を止めると再発し死んでしまいました。これに対してFbwx7を破壊したマウスの場合、イマチニブの投与でがん幹細胞まで死滅し、投与を止めても再発はしませんでした。現在、この発見を元に、Fbwx7の働きを抑える新たながん治療薬の開発が進められています。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事