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2017-12-06

これからのがん治療の鍵は免疫と遺伝子 2

刻々と進化するがん治療。その鍵となるのは免疫と遺伝子であることは間違いありません。このふたつについて考えてみます。

前回の記事:これからのがん治療の鍵は免疫と遺伝子 1 

がんは遺伝子の異常で起こる病気
がんは発症の時点まで遡れば、遺伝子の異常で起きる病気です。私たちは生きていくために、常に細胞を分裂・増殖させており、その設計図(コピーの元)となるのが遺伝子です。ところが、遺伝子に損傷があったり、機能に異常があったりすると、正常な細胞ではなくがん細胞が作られてしまいます。細胞は本来、必要なだけ分裂を何度か繰り返すと、自然死に誘導される仕組みがあります。しかし、特定の遺伝子に異常があると、分裂が際限なく行われるようになってしまうのです。こうした遺伝子をがん遺伝子といいます。逆にこうした異常な細胞が生まれないように、その歯止めとなるがん抑制遺伝子も存在しますが、これらの遺伝子に異常がある場合も、がんになるきっかけになります。
がん関連遺伝子の検査が来年度中には保険適応に
現在のがん治療は全て発生したがん細胞をどうするかという対症療法です。これに対して遺伝子の異常にアプローチして、根本から治療しようというのが遺伝子治療の考え方です。遺伝子治療というと何かSFの世界のようですが、厚生労働省ではがん関連遺伝子の検査を2018年度中には保険適応とする方針を打ち出しています。まずは遺伝子の異常を把握することによって、がんになるリスク、さらにはどのような治療が適しているかを詳らかにしていこうということです。

がん遺伝子治療にはまだまだ課題が
こうなると次に期待されるのは、遺伝子によるがんの診断を発展させた治療でしょう。遺伝子に異常があるなら、正常な遺伝子を送り込むことで、がん細胞が作られないようにするという治療です。とはいえ、がん患者の体内には何億、いやさらに上の単位でがん細胞が存在します。その全てにくまなく正常な遺伝子を補う必要はないにしても、治療としての効果が望めるだけの範囲に送り込めるのか、数の問題や手段の問題は課題になりそうです。ともあれ、国が本格的にゲノム医療に舵を切った今、遺伝子によるがん治療はますます発展していくことでしょう。

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