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2017-05-11

余命ゼロから14年もがんと共存した「奇跡のシェフ」亡くなる

 

末期がんで余命ゼロといわれながら、独自の食事療法で14年間、がんと共存してきた「奇跡のシェフ」こと神尾哲夫さんが亡くなられました。

標準治療の効果がなく、独自の食事療法へ
余命ゼロといわれながら、独自の食事療法で14年間、がんと共存を続けてきた「奇跡のシェフ」神尾哲夫さんが亡くなられました。神尾さんは51歳の時にステージ4の前立腺がんと診断され、手術や抗がん剤などの治療を行いましたが、効果は芳しくなく、自分は料理人なのだから料理で病気を克服しようと考えるに至りました。神尾さんの食事療法は極めてシンプルで、旬の自然な素材を中心にした献立です。その一部は『がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事』として出版されベストセラーになっています。神尾さんは余命宣告の後も厨房に立ち続け、現場を離れた後も、同じがん患者向けの食事指導などで精力的に活動されていました。亡くなる直前まで新たな企画に取り組んでいたとか。

完治だけではなくがんと共存という道もある
かつて抗がん剤の治験においてエビデンスの基準が腫瘍の縮小率であった時代があります。しかし、奏効率が高いほうが、余命が短くなってしまうという皮肉な結果が出るようになり、エビデンスの基準は、余命がどれだけ延びたかに変更されました。対症療法の考え方では腫瘍は排除すべき対象です。ところが、自らの体が作り出した腫瘍だけを排除することは難しく、抗がん剤は正常な細胞まで蝕み、副作用に苦しむことになります。神尾さんは大きな腫瘍を抱えたまま、14年間、頑張ってこられました。余命宣告をされながらもその間、がんは大人しく共存していたということです。医療の使命は患者を元気に生かすことであって、腫瘍を取り去ることではありません。腫瘍がなくなり5年間再発がなければ完治とされるがんですが、神尾さんの半生は、共存もまたひとつの道であることを示唆しています。

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