人間以上に精密な作業が出来る手術ロボット「ダ・ヴィンチ」は、通常の手術よりも神経や筋肉を傷つけないので、治療後の機能温存が重視されるがんへの活用が期待されています。前立腺がんでは既に保険適応になっていますが、咽喉頭がんについても治験の準備が進められています。
一円玉よりも小さな折り鶴が作れる
手術ロボット「ダ・ヴィンチ」が様々ながんの治療に活用されています。ダ・ヴィンチの強みは体内にカメラとアームを挿入して作業するため、通常では目視出来ない部分まで作業出来ること、そして一円玉より小さな折り鶴を作ったり、米粒に筆で字を書けたりするほどの精密な作業が可能であることです。大きく切開する必要がないため、患者への負担が少なく、回復も早くなります。
従来の手術では難しかった機能温存を可能に
がんに限らず手術において重要なのは患部を処置すると同時に、手術によって機能が損なわれないようにすることです。例えば従来の前立腺がんの手術などでは神経や筋肉を傷つけてしまった結果、排尿、性機能などが損なわれることが少なくありませんでした。しかし、ダ・ヴィンチの導入で細かい作業が可能になり、それらの機能を温存出来るケースが増えています。前立腺がんに関してはダ・ヴィンチは既に保険適応になっています。
咽喉頭がんにおいては治験の準備中
同様に機能温存に気を遣うのが咽喉頭がんの治療です。従来は手術や放射線で治療していましたが、喉の奥のほうに患部があるため、食べる際に飲み込みづらかったり、唾液が十分に出なかったり、味覚障害が出たり、呼吸や発声がスムーズでなくなったりするなどの後遺症が出る場合がありました。海外では咽喉頭がんに対するダ・ヴィンチによる治療は放射線と同等の評価をされていますが、現在、東京医科歯科大学ではこの咽喉頭がんの治療にダ・ヴィンチを導入しようと、治験に向けての研究を進めています。
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