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2017-04-05

光免疫療法への疑問1 万能ながん抗原はあるのか?

数年後には実用化されるのではないかといわれる光免疫療法。全ての部位、ステージのがんに有効といわれ、大きな期待を集めています。この光免疫療法について考えてみたいと思います。

 

米国では既に光免疫療法が治験に
標準治療の限界を理解した上で、様々な治療を摸索しているがん患者にとって、光免疫療法は大変気になるところでしょう。米国では既に治験に入り、実用化が近いとか、インターネット企業大手の楽天が事業としての参入を決めたとか、昨年から今年にかけて幾つかの大きな話題もありました。今回はこの光免疫療法について2回に分けて素朴な疑問を述べてみたいと思います。

色素を赤外線で発熱させて、がん細胞だけを破壊
まず光免疫療法の概容について説明しておきましょう。がん細胞特有の抗原に付随する抗体に、IR700という色素を結合させて投与します。このIR700は近赤外線を当てると発熱するのですが、抗体と結合させる際には、抗原と結合している時にだけ、近赤外線に反応するようにしてあります。体内に注入されたこの抗体とIR700を結合させたものは、抗原を標的にがん細胞に集まります。ここに近赤外線を当てて発熱させることで、がん細胞を破壊してしまうのです。これによって細胞の単位でがんを狙い撃ちに出来るため、全身に散らばったがんや、手術が出来ないほど浸潤したがんにも有効だとされています。また、治療費が現実的な金額になりそうなことも、期待を集めている理由でしょう。

がん細胞を狙い撃つための抗原がポイントに
正常細胞には影響を与えず、がん細胞だけを攻撃出来るかどうかは、がんという病気を克服する上で、最大のテーマです。理想的な治療のように思える光免疫療法ですが、最大のポイントとなるのは、IR700を運ぶための抗体、その標的となる抗原です。分子標的薬、がんワクチン……様々ながん治療開発はがん抗原を探し求める過程といっても過言ではありません。今までに幾つものがん抗原が発見されていますが、全てのがん細胞に共通する抗原は、まだ発見されていません。仮にひとつの抗原が標的となっても、がん細胞は変異していきます。がん細胞を狙い撃ちにする上では、常にこの抗原を特定することを求められます。

光免疫療法への疑問2に続く(更新は2017年4月6日の予定)
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