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2017-03-31

放射性医薬品に使われるアスタチンの製造に成功

「飲む放射線治療」である放射性医薬品には、がんによって様々な放射性物質が使われます。そのひとつとして期待されている希少元素「アスタチン」を、福島大学が製造したという発表がありました。

放射性医薬品はがん細胞だけを攻撃出来る
放射性物質を体内でがん細胞にのみ集まるようにした上で投与し、がん細胞を内側から破壊するのが放射性医薬品については、先日の記事でお知らせしました。体の外から放射線を照射する場合、患部の周囲や通過する部分への影響は避けられませんが、放射性医薬品であればがん細胞のみを攻撃し、しかも全身に行き渡ることで、散らばったがん細胞も叩くことが出来ます。

アスタチンは自然界に安定して存在しない
放射性物質はがんによって様々なものが用いられますが、そのひとつとして期待されているのがアスタチンです。しかし、自然界には安定同位体として存在せず、最も寿命の長い放射性同位体であるアスタチン210でさえ、半減期は8時間少々であり、極めて希少な元素のひとつとされています。因みにアスタチン210が崩壊すると、極めて毒性の高いポロニウム210になるため、医療用に研究されているのはアスタチン211です。アスタチン211は半減期が7時間程度と短く、これをがん細胞に特異的に集まる物質と一緒に投与することで、がん細胞を集中的に叩き、その他の細胞には副作用の心配がないという治療が可能になります

アスタチンの製造は国内医療機関では初
先日、福島医科大学は希少な元素であるアスタチン211の製造に成功したことを発表しました。国内の医療機関では初と見られています。昨年、放射性医薬品を製造するための中型サイクロトロンを導入したことで、研究が進みました。今年中には動物実験を開始し、2020年までには治験の実施を目指しています。新たな「飲む放射線治療」の進展に期待したいところです。

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