2016-11-10
オプジーボの競合「キイトルーダ」が薬価収載の申請を見送り
オプジーボと同様の作用をするキイトルーダが、健康保険の適用となる見込みでしたが、薬価収載の申請を見送るという発表がありました。
キイトルーダは今月、薬価収載を申請する予定だった
9月12日の記事でオプジーボと同じ免疫チェックポイント阻害剤であるキイトルーダが、間もなく悪性黒色腫の治療薬として健康保険が適用されることをお伝えしました。キイトルーダはオプジーボの競合になるわけですが、米国ではオプジーボよりも先に承認されています。キイトルーダは既に国内での製造・販売の承認を受けており、今月中に薬価収載の申請を行う予定でしたが、製造販売元は見送ることを発表しています。
患者の少ないがんが対象だったので高額に
従来の抗がん剤のように細胞を殺すのではなく、がん細胞が免疫細胞の作用にブレーキをかけている状態を打破し、免疫の力でがんを退治するオプジーボは、我が国のメーカーが開発したということも相まって、大きな話題になりました。ところが、年間3500万円といわれる薬価の高さが問題になり、財政を圧迫するとか、メーカーは儲け過ぎだとかの批判が出てきました。オプジーボの薬価が高くなったのは、最初に薬価収載されたのが、患者が少ない悪性黒色腫を対象としていたという事情があります。それが患者の多い非小細胞肺がんにも健康保険が適用され、一気に使用が増えたのです。
オプジーボの薬価を前倒しで引き下げる余波
こうした批判を受けて、政府は本来の薬価の見直しの時期(2018年)よりも前倒しで、オプジーボの薬価を25~50%引き下げようとしています。患者が多くなったのだから、薬価を引き下げても、利益を確保出来るだろうということです。キイトルーダも今回の薬価収載の申請は悪性黒色腫が対象ですが、当然非小細胞肺がんへの拡大も視野に入れています。作用機序も対象とするがんが同様であれば、同等の薬価がつくことが予想されます。それならばオプジーボの薬価引き下げがはっきりと決まらないうちは見送ろうということになったのでしょう。オプジーボの高額な薬価に対する批判の余波を受けたような印象です。
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