ステージ4の膀胱がんから復帰した竹原慎二さん(後編)
「ボクシングで世界一になる確率に比べれば5年生存率なんて」
──移った病院では医師と円滑にやりとりが出来たのでしょうか?
前の病院では抗がん剤を4クール投与と聞いていたんですが、副作用などを聞いて不安でした。そのあたりを主治医に話したら、柔軟にやりましょうといってもらえました。免疫細胞療法にも理解を示してくれましたよ。実際、抗がん剤がよく効いて、2クールやった後の6月には2度目の手術を受けています。
──膀胱を摘出する大手術と聞いていますが……
主治医からは取れるがんは全て取れたといってもらえました。膀胱は取ってしまったので、小腸の一部を切り取って、膀胱を再建する手術も受けています。幸い経過も良好で、手術以降は抗がん剤をやる必要がないという診断でした。それで何とか気持ちが落ち着きました。とりあえず今のところは転移や再発の心配はないということですから。
──いきなりステージ4との診断ですから、精神的にも大変だったと思いますが……
最初はひたすら落ち込んでいました。死ぬことは意識しましたよ。現役の頃はひとつ間違えれば、命を落とすようなことをしていたのに、病気で死ぬというのは怖かったんです。チャンピオンベルトを腰に巻けるなら、死んでも本望だっていうくらいの覚悟はあったんですけどね(笑)。まあ、いつまでもくよくよしていても仕方ないので、無理にでも前向きになろうとはしていました。ボクシングで世界一になる確率は何万分の一です。それに比べれば、5年生存率の数十%なんて楽勝だな……くらいにね。そんな僕を家族や周囲の皆さんが本当に一生懸命に、温かく支えてくれました。だから、今こうしていられるんです。
──手術から2年少々になりますが現在の具合は?
体調も検査の結果も落ち着いています。好きなものもおいしく食べられています。それでも血尿が出たりすると焦ったり落ち込んだりはしますね。膀胱を再建しているので、強く力まないと、尿が出ないんですが、それでお尻が切れてしまうことがあるんです。その出血に気づいて、また慌てたり……。
「がんに勝つには、免疫が大事だなと思ったんです」
──何か普段から気をつけられていることは?
僕は平熱が35度3分くらいで低かったんですが、がんは体が冷えているとなりやすいと聞いて、体温を上げる努力をしました。ビワの葉とコンニャクで患部を温めるなど、いいと思うことはいろいろやっています。それから先にも話しましたが、自分のNK細胞を採取して、培養してから体内に戻す免疫細胞療法も受けています。いろいろ勉強して、がんに勝つには、免疫が大事だなと思ったんです。ずっと続けているブログでは、がんのこともいろいろ書いていますが、同じようにがんで苦しんでいる皆さんにも参考になればと思っています。
──がんと闘っている皆さんにメッセージをお願いします。
がんになって余命宣告などをされると、逆らえない運命だからと諦めてしまう方もいるかもしれません。がんになったら治療はせずに放置しろなんていう無責任な医師もいます。でも、実際にがんになった僕としては、そんな生き方はどうしても納得出来ないし到底出来ません。道は残されていると信じて、最後まで闘います。やらずに終わったら後悔だけが残るんじゃないでしょうか。じゃあの(笑)。
竹原慎二公式ブログ 「竹原慎二はブタっ鼻」
URL http://ameblo.jp/shinji-takehara/