Home › がんと闘う › 【がん医療考現学】がんと周辺の話題を辛口に › 患者力が生死を左右する 2016-10-19 患者力が生死を左右する がんなどの重い病気になると、患者の立場はどうしても弱くなってしまいます。しかし、いいたいことをはっきり伝えて行動する患者力が、生死を左右することがあります。 1年以上の不調でもがんとは診断されなかった 先日、取材した元スポーツ選手の方は、かなり進行した段階でがんが見つかり、手術などの治療を経て奇跡的に社会復帰をされたのですが、最初にかかっていた病院で、明らかな診断ミスがあり、発見が遅れてしまうことになりました。約1年間、具体的な症状が出ていたにもかかわらず、主治医は曖昧な診断しかせず、業を煮やして紹介してもらった別の病院で、がんと診断されたのです。あのまま同じ病院にかかっていたら、今頃はこうして生きていられたかどうかわからないといっていました。 自分で探した病院にかかることに 具体的な治療に入ってからも、進展はスムーズではありませんでした。検査をした病院で手術を受けたのですが、紹介されたという経緯があったからか、がんとは診断してくれなかった最初の主治医が、何かと口を挟んできました。個人情報の管理という観点からも信じられない話です。また、標準治療だけでは不十分だという現実を知った患者が、自由診療を試してみたいと申し出た際には協力的であるどころか、鼻で笑うような態度でした。そのような経緯もあり、その後の治療は自分で探した病院にかかることになりました。 命が懸かっているのだから遠慮してはいけない 体を、命を預けるからか、患者はどうしても医師や病院に対して立場が弱くなってしまいます。がんのように生死を分ける病気と闘っている中であればなおさらのことでしょう。いいたいことをいった結果、主治医から見離されたらどうしようという不安がつきまといます。とはいえ、治療は自分の健康、命、未来が懸かっていることです。遠慮をしている溶融などないはずです。この元スポーツ選手が最初の主治医の見立てのままに治療を続けていたら今頃はどうなっていたことでしょう。患者はいいたいことをしっかりと伝えるからこそ、最適な治療が受けられるのではないでしょうか。 いいたいことを伝えるのは、患者力の基本 昨今、医療に対する問題が数多く提起されています。流れ作業のような診察への批判も少なくありません。では、日本の医療は駄目なのかというと決してそんなことはありません。誰もが平等に充実した医療を受けられる国などそうそうありません。とはいえ、よい医師もいれば駄目な医師もいます。よい病院があれば駄目な病院もあります。患者が何もいわないのは白紙で委任したのと同じことです。医師の考えていることとの齟齬を感じたら、そこをはっきりと伝えるべきであり、それでも駄目なら別の医師にかかればいいのです。いいたいことをはっきり伝えるのは、患者力の基本。冒頭の元スポーツ選手の生死を左右したのは、この患者力の基本だったのかもしれません。 00 関連記事 がん抑制遺伝子に作用する乳がんの新薬 肺がんステージ4のランナーが、東京マラソンを完走 ステージ4の膀胱がんから復帰した竹原慎二さん(後編) 膵臓がんの治験費用をクラウドファンディングで調達 トミーズ雅さん、早期の大腸がんで大腸を55㎝切除 膀胱がんの小倉智昭さん、膀胱摘出を拒んで遺伝子治療中 海外とは数倍もの価格差があるオプジーボ