がん細胞はどんどん変異
がん細胞の性質は千差万別です。がん細胞にはいろいろな遺伝子変異による様々な異常があるのです。そして、さらに変異しやすいのが特徴です。
がん細胞はどれも同じではない
ひと口にがん細胞といっても、それぞれに個性があり、性質は千差万別です。増殖が速いか遅いか、転移しやすいかしにくいか、免疫逃避に長けいているかいないか……。同じがんとは思えないほどの差があります。その違いは元がどんな組織の細胞だったかにもよりますし、どんな壊れ方をしてきたかによっても、がんとしての動き方が変わります。
がん細胞は遺伝子変異の結果
がん細胞に共通している性質のひとつは、周囲の秩序を無視して増殖することですが、そうなっている理由も様々です。あらゆる細胞はサイトカインの増殖信号を受け取って分裂・増殖するのですが、がん細胞はその信号経路が壊れています。その壊れ方もそれぞれで、増殖信号を受け取るレセプターが異常に増えている場合、増殖信号がなくてもレセプターが反応する場合、増殖信号を自分で勝手に作る場合などが考えられます。がん細胞は遺伝子変異の積み重ねによって生まれます。どんな遺伝子変異が重なっているかで、がん細胞の性質も変わっていくのです。
がん細胞は変異しやすい
がん細胞になってからも遺伝子変異は積み重なります。むしろDNAが損傷して不安定になっているために、正常な細胞よりもさらに壊れやすい傾向があるのです。その結果、増殖が速まったり、転移しやすくなったり、転移した先でより生き延びるようになったりするなど、不都合な変異も進みます。抗がん剤が効かなくなる薬剤耐性にも、がん細胞が変異して、薬の攻撃に強くなってきたケースが多いと考えられます。
がん細胞が凶暴化する前に
そのように性質が安定していないこともがん細胞の特徴です。今、動きが鈍いがんでも、いつ変異して危険ながんになるかはわかりません。がんをなるべく早く治療することは、手に負えない凶暴な細胞になる前に、危険を摘み取るということでもあります。相手が進行がんの場合、体のあちこちに散らばったがん細胞が、変異を続けています。その点からもがん細胞を殺し尽くせない上に変異原性(発がん性)のある抗がん剤だけでは不十分です。微小分散がんの殲滅が得意で、免疫力を高めるANK療法なども、全身療法のメニューに加えたほうが望ましいといえます。