toggle
2024-08-27

iPS細胞を利用した他人のNK細胞による治療が治験へ

iPS細胞は、様々な細胞に分化し、再生医療での活用が期待されています。

健常な他人のNK細胞をiPS細胞に

NK細胞は、がん免疫の主役といえる存在です。免疫は常に体内の異物を監視していますが、がん細胞は自分の体内で作られるため、認識が困難です。それでも活性の高いNK細胞は、速やかに異物として認識し排除します。がん制圧においては、このNK細胞の活用が大きな意味を持ちますが、培養が困難であるため、患者自身のNK細胞を採取して培養し、再び体内に戻す免疫細胞療法においては、それが高いハードルとなっていました。近年、様々な細胞に分化するiPS細胞の研究が進み、健常な他人のNK細胞を一旦未分化のiPS細胞に戻し、それをNK細胞として培養することで、問題を解決しようという試みが進み、治験もはじまることになりました。これによってNK細胞を大量にストックしておくことが可能になり、患者は時間をかけて、自分のNK細胞を培養するのに、時間をかける必要がなくなるということです。また、免疫細胞療法はオーダーメイドですが、大量生産によってコストの削減も出来るでしょう。とはいえ、問題は残されています。NK細胞は体内で作られた野生種に近い程、異物への攻撃力が高くなります。iPS細胞を経由して培養されたNK細胞が、どこまでの攻撃力を持ち、がん細胞を排除出来るかは、治験の結果を待つ必要がありそうです。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事