2021-04-21
抗体薬物複合体が進行尿路上皮がんの治療薬として米国で迅速承認
既存の抗がん剤は、正常細胞を巻き添えにし、副作用を招くという欠点がありました。それを抗体の力で補うのが、次世代のがん治療薬である抗体薬物複合体です。
抗体で抗がん剤を効率よく作用させる
米国食品医薬品局(FDA)は、抗体薬物複合体「エンホルツマブ ベドチン」を進行尿路上皮がんの治療薬として迅速承認しました。国内でも同様の承認申請が行われています。尿路上皮がんは、膀胱がんの約9割を占めます。国内で毎年2万4000人以上が新たに罹患し、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤の効果がない場合、それ以外の選択肢がなく、転移後の5年生存率は約7%しかありません。今回は第2相の治験で得られた良好な結果に基づき、迅速な承認が行われています。抗体薬物複合体とは、がん細胞に特異的な分子を抗原とする抗体に、既存の抗がん剤などを結合させたもので、従来の抗がん剤が、正常細胞にも影響し、副作用を招くという短所を補っています。多くの製薬会社が、がん細胞を効率よく叩ける次世代のがん治療薬として開発を進めており、既に幾つかの製品が承認され実用化されています。
関連記事