2019-11-05
抗体薬物複合体と免疫チェックポイント阻害剤を併用し、効果を確認
がん治療では複数の薬の併用がよく行われます。
抗体と抗がん剤を結合させた抗体薬物複合体
近畿大学のグループは、第一三共が開発する抗体薬物複合体「U3-1402」と免疫チェックポイント阻害剤の併用が、がん細胞の増殖抑制や免疫細胞の活性化に有効であることを確認しました。抗体薬物複合体は、がん細胞に特異的に発現する分子「HER3」を標的とする抗体に、分裂中の細胞のDNAの複製を阻害する抗がん剤を結合させたものです。従来の抗がん剤は分裂中であれば正常細胞にも影響するという難点がありますが、U3-1402は抗体の働きでがん細胞に効率よく届けられ、がん細胞の増殖を抑制します。一方、免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞が免疫細胞(T細胞)にかけているブレーキを解除するという仕組みであり、従来の抗がん剤とは異なる作用機序で注目されました。
いかにがん細胞だけを叩くかという課題
従来の抗がん剤は正常細胞も巻き添えにすることで、様々な副作用があります。また、分裂中のがん細胞しか傷害出来ないため、がん細胞を完全に排除出来ません。そこで、がん細胞を効率よく、正常細胞には出来るだけ影響を与えることなく攻撃出来る新薬の開発が行われています。抗体薬物複合体は既存の抗がん剤を利用して開発されている新薬ですし、免疫チェックポイント阻害剤も数年前に承認されたばかりです。既存の抗がん剤の活用、新薬、そしてそれらの組み合わせは、効率よくがん細胞を叩くために、様々な研究が行われています。
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