2019-06-17
光免疫療法は、様々ながんに使える可能性がある
がん治療は部位別ではなく、がんの性質別に行われる時代に向かっています。
光免疫療法は頭頚部がん以外にも有効か
楽天グループの三木谷浩史氏が巨額の出資をしたことで話題になった光免疫療法は、頭頚部がんに対する臨床試験が進んでおり、2022年には承認申請が行われる見込みです。オプジーボ、CAR-Tなど新しいがん治療が世に出ると、常に興味対象になるのは、いろいろながんに対して効くのかどうかということです。因みにオプジーボは最初に悪性黒色腫という希少ながんで保険適用になりましたが、間もなく患者の多い小細胞肺がんに拡大になり、現在では腎がん、頭頚部がんなど多くのがんに使うことが出来ます。そして、この光免疫療法も様々ながんに有効だと考えられます。
光免疫療法に不可欠な分子標的薬
光免疫療法は、光(近赤外線)に反応して発熱する色素を、がん細胞に特異的に見られるEGFR(上皮成長因子受容体)を目印に作用する分子標的薬「アービタックス」を用いて送り込んだ後、光を照射して発熱させ、がん細胞を内側から破壊します。このEGFRは頭頚部がんに限らず多くの進行の速いがんに見られ、アービタックスは頭頚部がん以外に大腸がんにも保険適用になっており、欧米では様々ながんに幅広く使われている代表的な分子標的薬なのです。EGFRを発現しているがんであれば、光免疫療法は有効であることが考えられます。また、色素を送り込む分子標的薬を、別の蛋白質などを目印に作用する分子標的薬にすれば、さらにバリエーションが増える可能性もあるでしょう。
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