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2018-11-06

BNCTを体の深部のがんに使うための研究が進む

体を通過する中性子の性質を利用し、がん細胞を効率よく叩くのがBNCTです。

弱い放射線は体の深部に届かない
BNCT(ホウ素中性子補足療法)は、がん細胞が選択的に取り込むホウ素の化合物を、患者に投与した後、低エネルギーの中性子を照射します。中性子は体を通過し、がん細胞が取り込んだホウ素を、リチウム核とα線に分解しますが、この際に発生するエネルギーで、がん細胞を破壊するのです。がん細胞を効率よく叩ける治療として、臨床試験が行われていますが、放射線を強く出来ないため、皮膚がんや頭頚部がんなど体の表面に近いがんにしか使いづらいという難点がありました。

ガドリニウムはホウ素よりも中性子を吸収し易い
この難点を克服すべく、改善策が研究されています。東京大学のグループはホウ素よりも中性子を吸収し易いガドリニウムに着目。マウス実験では何もしなかった場合に比べて、27日後にはがんの大きさが4分の1になったという報告があります。また、ホウ素を従来よりも多量に使うやり方、がん細胞がホウ素を従来よりも取り込み易くするやり方なども、研究が進められているようです。BNCTが体の深部のがんにも有効になるよう、研究の成果を待ちたいところです。

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