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2018-01-11

コストとリスク度外視で劇的な効果があったがん治療

30年以上前、抗がん剤さえ効かなくなったがん患者数百名に臨床実験が行われ、腫瘍が完全に消えるなど、全員に対して何らかの効果があった治療がありました。

莫大なコストと重篤な副作用リスク
1984年、NIH(米国立保健衛生研究所)は、抗がん剤が効かなくなったがん患者数百名に対して、大規模な臨床試験を行いました。数十ℓという大量の採血を行い、そこからリンパ球を分離し、活性を上げるインターロイキン2を加えて、増殖がはじまって、活性が下がる前に、体内に戻すという治療でした。LAK療法と呼ばれるこの治療は、全ての患者に何らかの効果があり、腫瘍が完全消失し、その後の再発もないという著効例も少なからずありました。但し、あまりに効果があるために、腫瘍が急激に崩壊することによる重篤な副作用のリスクもあったのです。血液を長時間循環させて、リンパ球を分離採取した上で、当時は貴重だったインターロイキン2を多量に使って、活性を上げて培養。さらには、副作用に備えて、集中治療室レベルでの管理。ひとりの患者にかかるコストは、法外な金額になりました。

LAK療法が効かないと決めつけられた理由
リスクとコスト──LAK療法が実用化されなかった理由は、この2点です。後年の検証では多くの研究者が、LAK療法はそんなに効果がなかったと述べています。理由は簡単で、リスクとコストの問題で、最初の臨床試験ほどの治療強度では再現出来なかったからです。換言すればリスクとコストを度外視すれば、がん征圧はかなり現実的な話なのです。LAK療法の延長線上で行われているのが、現在の免疫細胞療法の殆どですが、治療強度を保ちった上で、リスクを軽減し、コストを圧縮出来ている治療を提供している医療機関は数少ないのが現状です。

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