本来は隣同士がしっかりと繋がっている細胞ですが、がん細胞ではこの繋がりが緩んで、増殖や転移に大きく影響しています。理化学研究所ではこの緩みを回復するメカニズムを突き止めました。
大腸がんの細胞で繋がりを回復出来ることを確認
正常な細胞は、隣り合った細胞同士がしっかりと繋がっていますが、がんが進行していく過程で、がん細胞ではこの繋がりが緩くなり、増殖や転移に強く影響します。細胞と細胞を繋ぐ糊の働きをしているのは、カドヘリンという分子ですが、この異常を回復させる手段は見つかっていませんでした。理化学研究所では大腸がんの細胞に約16万種類の薬剤を投与し、そのうちの約100種類で細胞を増殖させる微小管を破壊し、細胞同士の繋がりを回復させる働きがああることを発見しました。そのうちのひとつ「ノコダゾール」では細胞の収縮を引き起こすRhoAという蛋白質が活性化されていました。カドヘリンなどが引っ張られ、離れていた細胞同士が繋がり、中心に向かって生まれた張力で、カドヘリンに続いて細胞が繋がる際に必要な他の蛋白質も集まってきたと考えられています。このメカニズムが明らかになることで、新たながん治療が生まれる端緒になるのではないかと、期待が寄せられています。
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