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2023-02-02

再発や転移の元凶であるがん幹細胞を攻撃する取り組み


がん幹細胞は、普段は休眠状態なので、抗がん剤や分子標的薬の攻撃をくぐり抜けます。

がん幹細胞に標的が特定されている

幹細胞は、様々な細胞に分化する能力を持ち、いわば細胞の元となる細胞です。そして、がんにおいてもこの幹細胞が存在し、再発や転移に大きく関わっていることがわかっています。がん幹細胞は、幹細胞と同様、分裂するペースが極めて緩やかです。抗がん剤は、がん細胞に限定して傷害するわけではなく、がん細胞が正常細胞よりも極めて頻繁に分裂する性質を利用し、分裂中の細胞に対してDNAを破壊します。また、がん細胞の異常な分裂は、遺伝子に変異が起きた結果ですが、それによって活性化している蛋白質の働きを抑制するのが分子標的薬です。がん幹細胞は滅多に分裂しませんし、異常な分裂に関わっている蛋白質も休眠状態ですから、こうした治療をくぐり抜けてしまいます。そして、一旦、がんが消えたように見えても、どこかのタイミングで分裂・増殖を開始して、再発や転移を招くのです。再発や転移を防ぐには、がん幹細胞を排除することが課題ですが、現在、がん幹細胞の標的となる蛋白質が幾つか特定され、それを利用した治療が研究されています。

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