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2023-02-01

光免疫療法の症例がなかなか増加しない理由


大きな期待で保険適用になった光免疫療法ですが、症例数はあまり伸びていません。

なかなか手術不能とは診断しない

光免疫療法は、光(近赤外線)に反応して発熱する色素を、抗体を利用して、がん細胞に送り込み、患部に光を当てることで、内側から破壊します。がん細胞を狙い撃つ治療として注目され、2021年1月の保険適用以降、全国の主要な医療機関でも導入が進んでいます。しかし、実際の症例は100前後と予測され、期待とは裏腹に伸び悩んでいます。この背景には適応に対する医師の解釈があるのではないかといわれています。光免疫療法が適応になるのは、手術不能で転移のない頭頸部がんです。この手術不能という診断には明確な定義があるわけではなく、医師の判断に任されている部分が大きいのですが、標準治療では手術が可能な場合には極力手術を行って、がんを効率よく縮小するという考え方があります。手術不能と診断して光免疫療法を選択するという流れにはなかなかなっていかないようです。頭頸部には重要な器官が集まり、また容貌をに関わる部位です。手術による後遺症はQOLを大きく左右するので、侵襲の小さい光免疫がさらに普及するのを望みたいところです。

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