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2022-07-08

光免疫療法がトリプルネガティブ乳がんに奏効する可能性


トリプルネガティブ乳がんは、分子標的薬やホルモン剤が奏効せず、最も厄介な乳がんとされます。

トリプルネガティブ乳がんのバイオマーカー「ICAM-1」

トリプルネガティブ乳がんは乳がん全体の2割を占めますが、分子標的薬やホルモン剤が有効でないため、化学療法としては抗がん剤しか選択肢がありません。再発率も高く、乳がんの中では、最も厄介なタイプです。このトリプルネガティブ乳がんに対して光免疫療法が応用出来る可能性が出てきました。光免疫療法は、光(近赤外線)に反応する色素を、抗原と抗体の仕組みを利用して、がん細胞に選択的に送り込み、そこに光を当てることで、内部から破壊します。現在、がん細胞の増殖に関わるEGFRを抗原とするセツキシマブを抗体とする頭頸部がんへの治療が保険適用となっていますが、がん細胞を狙って叩けるということで、様々ながんへの応用が研究されています。光免疫療法の開発者である小林久隆関西医科大学光免疫医学研究所所長と米国立衛生研究所は、共同研究を行い、トリプルネガティブ乳がんのバイオマーカーであるICAM-1が、光免疫療法の標的となることを確認しました。マウスを使った実験では、ICAM-1を標的に近赤外線を照射したところ、がん細胞が破壊されるのを確認出来ています。今後、抗原と抗体の仕組みを工夫することで、治療の選択肢が少ないトリプルネガティブ乳がんに、新たな選択肢が生まれる可能性があります。

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