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2022-04-15

光免疫療法のさらなる可能性とは?


現状ではそれ程多くの患者が受けられるわけではない光免疫療法ですが、実際には大きな可能性を秘めています。

保険適用は局所の頭頸部がんのみ

昨年、保険適用となった光免疫療法は、大きな副作用がなく、がんを効率よく叩けるということで、日本人医師が開発したことも相まって、大きな話題になりました。一方、現状では限られた患者しか受けられず、その可能性を活かしきれていないといえます。光免疫療法は、抗体を利用して、光(近赤外線)に反応する色素を、がん細胞に送り込み、そこに光を当てて発熱させることで、がん細胞を効率よく破壊します。あくまでも局所のがんが対象であり、光を当てる必要もあるため、現在、保険適用となっているのは、転移のない頭頸部がんのみで、実際にはそんなに多くの患者が治療を受けられてはいないのです。

局所治療だが全身の免疫を刺激する

しかし、光免疫療法には単なる局所治療に止まらない可能性があります。「免疫」といいつつ、直接的には免疫でがんを攻撃するわけではありません。免疫の仕組み(抗体)を利用して、色素をがん細胞に送り込むだけです。ポイントはこの後に起こることで、がん細胞が大量に死滅すると、それによって免疫が刺激され、直接攻撃を受けなかったがん細胞まで、免疫細胞が攻撃を開始するのです。局所の治療でありながら、実際には全身の治療といえます。その意味では浸潤・転移したがんへの拡大を期待したいところです。

免疫を抑制する免疫細胞を破壊

また、現在は、比較的多くのがん細胞が発現しているEGFRという蛋白質を目印にして、アキャルクス(抗体医薬品に色素を結合させたもの)を使用していますが、がんの種類に応じて様々な交代医薬品を使い分けて、よく多くのがんに対応させることは視野に入っています。また、免疫細胞の中には免疫全体の均衡を保つため、免疫を抑制する制御性T細胞があり、これはがん患者にとってはがんの進行を促す厄介な存在です。光免疫療法ではこの制御性T細胞を狙って破壊する方法も開発されており、組み合わせることで大きな相乗効果が期待出来ます。

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