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2021-05-11

分子標的薬「ハーセプチン」の名前の由来


乳がんではよく使われるハーセプチンですが、その名前は作用機序に由来しています。

作用機序に因んだ3つの言葉

乳がんや胃がんに適用になっている分子標的薬「トラツズマブ」は、一般には「ハーセプチン」という製品名で知られています。
既に特許が切れて、同様の製法で作られ、同様の効能のあるBSも普及しているベストセラーですが、「ハーセプチン(Herceptin)」という名称は、「her」「cept」「ptin」の3つの言葉に由来していることをご存知でしょうか。
ハーセプチンは、分裂・増殖の盛んながん細胞に過剰に発現するHER2という蛋白質を標的に作用します。
「her」は「HER2」、「cept」は「捕まえる」、「ptin」はprotein「蛋白質(protein)」。作用機序をそのまま表現しているわけです。

分子標的薬は新しいタイプのがん治療薬

古典的な抗がん剤は、がん細胞が正常細胞よりも盛んに分裂することに着目し、分裂中の細胞のDNAを傷害して破壊します。
難点は、分裂中であれば正常な細胞も傷害し、つらい副作用を招くこと、そして分裂していないがん細胞は薬の作用から逃れてしまうことでした。
そこで、がん細胞を選んで作用する薬の開発が行われ、ハーセプチンのようながん細胞特有の蛋白質を目印に作用する分子標的薬が誕生しました。
因みにハーセプチンは、HER2が陽性であれば、効果が期待出来るため、欧米では様々ながんに使用されています。

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