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2020-11-05

薬価が4分の1以下になっても、売上が伸びるオプジーボ


高額と批判された薬価の度重なる引き下げ、強力な競合製品の登場で減少したオプジーボの売上が回復しています。

次々とオプジーボの適用は拡大
免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」は2014年に世界に先駆けて、我が国で承認されました。従来の抗がん剤とは異なる作用機序であり、2015年に小細胞肺がんに保険適用になってからは、一気に売上が増大しましました。薬価は、患者の数、即ち市場に応じて決定されますが、最初に保険適用になったのが、患者の少ない悪性黒色腫であったため、年間3500万円以上という高い設定であり、適用拡大によって患者が増えてからは、大きな問題になったのです。結果、オプジーボは従来のルールを変更してまで、薬価を見直され、複数回の値下げを経て、現在で4分の1以下になりました。2016年度に1000億円を超えた売上は、2016年に承認された競合製品のキイトルーダに市場を奪われた影響もあって、徐々に減少しています。ところが、今年になって様々な部位、治療への適用拡大を行った成果が出て、売上は回復。2020年度の売上は再び1000億円を上回ることが予測されています。

がん治療は免役を重視する方向へ
オプジーボははじめて市場に投入された免疫チェックポイントですが、従来の抗がん剤ががん細胞を攻撃する仕組みであったのに対して、がん細胞によって抑制されていた免疫を回復させて、自らの免疫でがんを叩くという意味で画期的なものでした。それがこれだけ急速に市場に浸透するということは、本来はがん克服の要であるはずの免疫が、これまでいかに軽視されてきたかを物語っています。標準治療、特に抗がん剤は、がんを直接叩きますが、免役を低下させます。それが進行がんを克服出来ない根本的な原因でもあります。オプジーボの躍進は、がん治療の進むべき方向を暗示しているといえるでしょう。

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