toggle
2020-02-10

38種類のがんの全ゲノムを解析する取り組み

がん遺伝子パネル検査が保険適用になりましたが、分析の対象となっているのはゲノムのほんの一部に過ぎません。

がんの原因からアプローチする治療
がんは、遺伝子の変異によって異常な細胞が生まれ、それがどんどん増殖していった結果です。保険診療で行われる標準治療では、がんを手術で切ったり、放射線で焼いたり、抗がん剤で殺したりというやり方を行ってきました。しかし、がんで亡くなる方はなかなか減らず、原因からアプローチしようということで、ゲノム(遺伝情報)医療が推進されています。

どんな遺伝子の変異があるかを明らかにすることで、がんの性質を把握し、それに応じた治療を選択しようという試みです。近年、がんの新薬は、がん細胞が遺伝子の変異によって特異的に発現している分子を目印に作用する分子標的薬が主流です。遺伝子の変異がわかれば、効果の期待出来る分子標的薬が見つかる可能性があります。

約4600万の遺伝子の変異を特定
昨年にはがん遺伝子パネル検査が保険適用になりました。がんに関連する複数の遺伝子を分析することで、がんの性質を知り、それに応じて分子標的薬を選択することが目的です。しかし、この検査で対象となるのは、ゲノムのほんの一部に過ぎません。日米英などの37か国は38種類のがん、約2700の組織の全げゲノムの解析に取り組み、その結果を論文として発表しました。研究では約4600万の遺伝子の変異が特定されデータベース化されています。この研究が次世代のがん治療に役立てられることが期待されています。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事