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2019-12-27

がんゲノム医療の進むべき未来

国が推進するがんゲノム医療は、がんの原因からアプローチしようという試みです。

ヒトゲノムが解読され、がん治療に活用されている
厚生労働省はがんゲノム医療を推進し、がん遺伝子パネル検査が保険適用になりました。また、がんを早期発見するための遺伝子検査を行っている医療機関が増えてきました。ヒトゲノムの解読が進み、様々な形でがん治療への活用が進んでいます。 がんは遺伝子の変異によって異常な細胞が生まれ、どんどん増えていった結果です。従って、遺伝子の変異を知ることは、がん細胞の特徴を知ることになり、がん細胞の存在や性質を明らかに出来るので、それに応じた対策がとれるということです。 では、より多くの方ががんを克服していくためには、どのような課題を解決していくべきでしょうか。

がんゲノム医療の抱える制度面での課題
がん遺伝子検査は保険適用になりましたが、対象になるのは一部の患者に限られます。標準治療を終えて、他に選択肢がなくなった患者、標準治療が確立されていない希少ながんの患者などです。標準治療は基本的に部位別に行われ、それではなかなかがんで亡くなる方が減らないから、原因からアプローチしようとしているのががんゲノム医療です。従って、全てのがん患者には遺伝子検査を行い、その変異に応じて治療を選択すべきなのです。また、これによって効果が期待出来そうな分子標的薬などが見つかっても、それが保険診療では使えないケースが多々あります。キイトルーダなど限られた分子標的薬が、特定の遺伝子のへ変異があれば部位を問わず保険適用になりましたが、保険適用でなければ費用を負担出来ず、治療を諦めてしまうことが多くなるでしょう。

全ての進行がんの患者にゲノム医療を
全てのがん患者に保険診療でがん遺伝子パネル検査を受けさせた場合、膨大な費用がかかり、国の財政を圧迫してしまいます。今後、効率化でコストを圧縮することは求められますが、がん遺伝子パネル検査を特にがん細胞が全身に広がった可能性のある進行がんに対しては保険適用とし、遺伝子の変異に応じて分子標的薬を保険診療の範囲で選択出来るようにすべきでしょう。

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