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2019-12-05

肝細胞がんの新たな治療法の効果を臨床試験で確認

肝臓の役割は解毒です。そのため、肝臓のがんには抗がん剤などの化学療法が効きづらく、生存率が改善しない原因になっていました。

ソラフェニブと肝動脈塞栓術を併用
肝臓には解毒の機能があるため、かつては肝臓がんには化学療法が効きづらいとされていました。それが近年では様々な新しい治療が開発され、生存率は改善傾向にあります。がんの新薬は、がん細胞が特異的に発現している分子を目印に作用し、増殖を食い止める分子標的薬が主流になっていますが、肝臓がんにおいてはソラフェニブが登場し、化学療法を劇的に変えています。また、化学療法の強力な選択肢がない時代には、様々な物理的な手法が考えられ、肝臓に栄養や酸素を運ぶ肝動脈を塞ぐことで、肝臓のがんを兵糧攻めにする肝動脈塞栓術は、広く行われるようになりました。近畿大学のグループはステージ2の肝細胞がん(複数のがんが肝臓の中に止まっている状態)の患者に、この2つを組み合わせた臨床試験を行い、従来の標準治療である肝動脈塞栓術単独での無憎悪生存期間13.5か月を25.2か月と約2倍に延長させ、世界ではじめて効果を確認出来ました。

早期のうちにがんを食い止めることの意味
早期がんと進行がんは全く別のがんといっても過言ではありません。浸潤・転移するとがん細胞は全身に広がり、標準治療では完全に排除出来ない以上、再発や転移のリスクが高くなるのです。従って、がんは早期の段階で食い止めるのが重要になりますが、肝細胞がんに関してはステージ2では肝動脈塞栓術しかありません。そして、全ての患者に有効だとはいえないのが現実です。そこにステージ3の標準治療で使われるソラフェニブを併用し、効果を確認出来たことには、大きな意味があります。

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