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2019-11-20

がん治療で「治る」「治す」が意味すること

何を大事にしたいかは、がん患者それぞれで異なります。

標準治療は進行がんには延命しか行わない
がんが進行すると、完治という考え方はありません。目に見えるがんがなくなっても、がんは細胞の単位の病気ですから、全身に散らばったがん細胞から再発や転移が起こる可能性があります。そこで、治療後、5年経っても再発や転移がなければ、「寛解」といいます。そして、標準治療では全身に散らばったがん細胞を、完全に排除することは出来ません。基本的には完治ではなく延命が目的になります。

がんが小さくなっても、余命が縮む可能性
再発や転移などがん細胞が全身に散らばっていると、基本的に手術は出来ません。こうなると基本は抗がん剤などの全身療法でがんを出来るだけ小さくするか、大きくならないようにするしかありません。抗がん剤は正常細胞も巻き添えにして傷害するため、つらい副作用があり、患者はどんどん消耗していきます。がんが大きくならないようにするために、余命を縮めてしまう可能性を否定出来ないのです。

何のために治療を行うのかが重要
結局、患者にとって何が大切なのか、そのためにやるべきことが治療となります。がんを消してしまうことは出来なくても、痛みや不都合を解消したい方もいれば、何かやるべきことがあって副作用のある治療は避けたいという方もいるでしょう。残念ながら標準治療のガイドラインではまずはがんが大きくなるかならないかが問われます。そのあたり患者の事情や要望を反映する治療が求められています。

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