toggle
2019-10-18

「新しい抗がん剤」が意味すること

欧米では既に抗がん剤よりも分子標的薬が主流になっています。

抗がん剤はがん細胞を完全に排除出来ない
抗がん剤は我が国ではがん治療の主力といえます。特にがんが進行し、全身にがん細胞が散らばっている状態になると、手術や放射線といった局所治療では排除しきれないため、ほぼ唯一の選択肢になります。従来の抗がん剤はがん細胞だけを攻撃するわけではありません。がん細胞が正常細胞の何倍もの頻度で分裂する性質を利用し、分裂中の細胞を傷害することで、がん細胞の数を減らします。短所としては分裂中であれば正常な細胞まで巻き添えになって、様々な副作用を招きます。そして、分裂中でないがん細胞は生き残るため、がん細胞を完全に排除しきれず、再発や転移のリスクが残るという問題があります。

世界のがん治療の潮流は免疫重視
そして、昨今、「新しい抗がん剤」と呼ばれる薬が使われるようになりました。がん細胞に特異的に発現する蛋白質を目印に作用し、分裂を抑える分子標的薬です。 抗がん剤よりも効き方は穏やかですが、副作用は軽微です。また、分子標的薬はがん細胞が増殖するのを抑えているうちに、患者自身の免疫によってがん細胞を退治するので、多くは免疫を刺激する働きもあります。オプジーボの登場などでがん治療の鍵が免疫であるということが周知されてきました。欧米では既に分子標的薬が抗がん剤にとってかわりつつあります。しかし、我が国では依然として抗がん剤偏重の状況が続いています。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事