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2019-10-11

我が国の化学療法は、まだ抗がん剤が主流

がんの新薬はどんどん開発されていますが、治療の現場ではなかなか新陳代謝が行われていないようです。

欧米では抗がん剤よりも分子標的薬が主流に
日本人に多いがんは胃がん、大腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がん、前立腺がん。この中で近年、化学療法が進歩したのは、肺がんの分野です。従来の化学療法は、がん細胞が正常細胞よりも頻繁に分裂することを利用し、分裂中の細胞のDNAを傷害することで、がん細胞を減らすことを目的としていました。しかし、分裂中であれば正常な細胞も巻き添えになり、これが様々な副作用を招くことが問題でした。そこで、近年ではがん細胞に特異的に発現する蛋白質を目印に作用し、分裂を抑える分取標的薬が開発され、欧米では既に従来の抗がん剤よりも主流になっています。

ランキングの上位を占めるのは、既存の抗がん剤
しかし、メディカル・データ・ビジョン社が2万1615人の肺がん患者を対象に、2018年のうちに何の薬を処方したかを調査した結果を見てみると、1位はパラプラチンで5182人、2位はアムリタで2897人、3位はタキソールとなっており、従来の抗がん剤が上位を占めています。4位にやっと免疫チェックポイント阻害剤のキイトルーダ、6位に新世代の分子標的薬といわれるタグリッソがランクインしています。がん治療の鍵は、どうやって免疫を機能させるかであることは、広く周知されつつあります。従来の抗がん剤は免疫細胞にも深刻なダメージを与えますが、我が国のがん治療はいまだに抗がん剤偏重から抜け出せていないのです。

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