toggle
2019-10-10

自由診療は本当に高いのか?

進行がんからの生還を目指すなら、標準治療に自由診療を組み合わせる必用があります。しかし、費用の面だけで自由診療を拒む患者は少なくありません。

進行がんになると標準治療だけでは不十分
進行がんは、保険診療で行われる標準治療だけでは、完治が困難になります。標準治療の柱は、局所治療である手術と放射線、そして全身治療である抗がん剤の三大療法です。このうち、局所治療である手術と放射線は目に見えるがんを一気に小さくしたり取り去ったり出来ますが、進行がんの場合は全身にがん細胞が広がっていますから、それだけではがん細胞を排除出来ません。

そこで全身療法として抗がん剤を投与しますが、抗がん剤はがん細胞を狙って攻撃するわけではありません。がん細胞が正常細胞の何倍もの頻度で分裂する性質を利用し、分裂中の細胞を傷害するのです。分裂していれば正常細胞も巻き添えになり、様々な副作用を招きます。また、分裂していなければがん細胞は生き残ります。特に再発や転移の元凶となるがん幹細胞は滅多に分裂しません。抗がん剤を何クール化繰り返しても、それだけでがん細胞を完全に排除することは出来ないのです。

標準治療が安いわけではない
こうした標準治療の欠点を補完するためには、免疫系の治療などを組み合わせる必要があります。問題は保険適用でない場合、治療費は全額自己負担となるため、患者の負担が大きくなることです。免疫細胞療法や分子標的薬の保険診療外処方の場合、年間数百万円という金額は珍しくありません。多くの方はそれを法外な金額と思われるでしょう。

しかし、保険診療でも患者負担が一部であったり、一定の金額を超えると、支払いに上限があったり、目に見える金額が小さいだけなのです。進行がんになると標準治療は、基本的には延命が目的となります。それでも完治を目指したいなら、患者が決断して、様々な治療を取り入れる必要があります。そこには正当な費用がかかることは理解すべきでしょう。医療に高額な費用がかかることを理解しづらいのは、優れた医療サービスを誰もが大きな負担なく受けられる国民皆保険という制度の弊害かもしれません。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事