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2019-08-30

進行がんからの生還の鍵はセカンドオピニオン5

進行がんからの生還の鍵はセカンドオピニオン

標準治療は進行がんに対しては延命しか行わない
保険診療で提供される標準治療は、科学的根拠と多くの検証に基づく信頼出来る治療です。しかし、進行がんに対しては限界があり、現実的には完治よりも延命を目的とする治療になってしまいます。

がんが早期で原発部位や周辺のリンパ節に留まっている場合は、手術や放射線といった局所療法で完全に取ることが出来ます。しかし、浸潤が進んだり、遠隔転移したりすると、がん細胞は全身に散らばっており、抗がん剤による全身治療が必要です。

抗がん剤は、がん細胞が盛んに分裂することに着目し、分裂中の細胞を傷害することで、がんを縮小させます。しかし、再発や転移の原因となるがん幹細胞は、分裂の周期が長く、抗がん剤の攻撃から生き延びてしまうのです。

従って、進行がんに対しては基本的に抗がん剤を繰り返し、完治ではなくて延命を施すしかないのが、標準治療の現実です。

先端医療などで標準治療を補完して、進行がんを克服
がんが進行して、手術が不可能だとか、もう緩和ケアしか出来ないという患者さんはたくさんいらっしゃると思いますが、あくまでも標準治療のガイドラインに従った場合です。自由診療も選択の範囲に加えれば、ステージ4や末期の患者さんでも完治や生還を目指してやれることはたくさんあります。決して諦めることはありません。

がん細胞が全身に散らばっている場合、奏効率は最初に使うファーストラインの抗がん剤で3~5割、セカンドラインで1~3割といわれます。ガイドラインではサードラインまで決まっていますが、生き残ったがん細胞には抗がん剤への耐性が出来て、奏効率はどんどん悪化していくのです。

全身に散らばったがん細胞を排除するには、遺伝子治療や免疫治療で標準治療を補完していく必要があります。こうした治療は自由診療で行われています。保険診療ではそれ以外の治療を勧めたり行ったり出来ませんから、こうした自由診療を希望される患者さんは、まずは先端医療などの自由診療に精通した医師に、セカンドオピニオンを求めることが必要です。

同じ標準治療でも医師によって違いが
保険診療の原則は均てん化された医療ですが、現実には医師や医療機関の優劣はあります。多くの患者さんはがんと診断されたら、紹介された先で治療を受けますが、それがベストの環境とはいいきれないのです。医師や医療機関のことを一番知っているのは医師です。自分のがんを一番得意としている医師や医療機関を紹介してもらうのは、セカンドオピニオンの利用法のひとつです。

また、標準治療にはガイドラインが設けられていますが、それに沿って判断するのは医師です。症状や体調、環境、リスクなどの要因で個々の医師の判断は変わってきます。最初に診断してもらった医師に、手術は無理だとか、緩和ケアしか出来ないといわれても、別の医師の見解が異なるということは少なくありません。
諦めずにセカンドオピニオンを聞いてみましょう。

▼セカンドオピニオン▼

人間ドックでPSAを測ったら、50(正常値<5)と高く、精密検査をすると前立腺がんが見つかりました。がんは前立腺の外に飛び出していますが転移はないそうです。ただ、腫瘍マーカーのグリソンスコアが8点で、再発の危険が高いため、まず前立腺の全摘手術をしてからホルモン治療をするといわれました。

手術の合併症で尿漏れやED(勃起不全)があるというので手術はしたくありません。ホルモン治療でもEDになるとか……。実は、妻がまだ若いので、男性機能は失いたくないのです。手術やホルモン治療以外に何か選択肢はないでしょうか。《54代 男性》

前立腺がんは進行が緩やかなので、
家族計画を優先した選択肢もありうる

前立腺がんの治療には手術、放射線、抗がん剤、ホルモン剤の4つがありますが、はじめに何をやるかの選択は、次の3つの状態で決まります。

①転移の有無
②平均寿命(男性の場合は81歳)まで10年以上あるかどうか
③PSAや悪性度を示すグリソンスコアの数値

転移がなければ根治を目指して、手術や放射線による治療を行います。以前は、若い方だと放射線より全摘手術が選択されることが多かったのですが、最近では放射線でも手術に劣らない根治性があるといわれています。

この方が通われている病院は、放射線治療を行っていないようなので、今回は選択肢に入らなかったのかもしれません。放射線治療を行う場合は転院となりますので、主治医の先生に放射線治療について相談してみてください。

根治を目的に、手術や放射線による治療を行ったとしても、PSAとグリソンスコアが高ければ、再発の可能性が高いと判断されて、ホルモン剤の併用が必要になります。

どうしても男性機能を保ちたいのであれば、再発のリスクを覚悟の上で、ホルモン剤による治療は行わないという選択肢もあります。前立腺がんは進行が緩やかであることが多く、10年生存率が90%を超えるがんです。ご自身の家族生活を優先した治療を選択してもよいと思います。主治医の先生にきちんと伝えて、よく話し合ってみてください。

≪取材協力≫ 銀座みやこクリニック https://gmcl.jp/

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