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2019-07-16

遺伝子を改変したバクテリアで、がん細胞の破壊に成功

がん細胞は生き延びるために、様々な手段で免疫細胞の攻撃から逃れています。

正常細胞を攻撃しない仕組みを逆手にとる
米国コロンビア大学のグループが、遺伝子を改変したバクテリアを使って、がん細胞を破壊する実験に成功しました。健常者の体内では免疫が常にがん細胞を監視し、見つけ次第排除してくれます。しかし、がん細胞は様々な手段で免疫から逃れようとします。そのひとつとしてCD47という遺伝子が作る蛋白質を使って、免疫細胞が攻撃しないようなサインを出しています。

CD47は本来、正常な細胞を免疫細胞が攻撃しないように機能しますが、がん細胞はそれを逆手にとって利用するわけです。従来の研究ではこのサインを抗体を使って隠す取り組みが続けられてきました。しかし、抗体は分子が大きく、なかなか腫瘍の中までは入り込めないことがネックになっていました。そこで、500万個の無害なバクテリアに抗体よりも小さなナノボディを作る遺伝子を注入し、マウスの腫瘍に注射するという実験を行いました。

バクテリアは腫瘍の中で大量のナノボディを吐き出し、免疫細胞を欺いているサインを無力化し、やがて免疫細胞は腫瘍を完全に消失させたのです。実用化にはまだ時間がかかりそうですが、新たな免疫を機能させる治療の端緒になりそうです。

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