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2019-06-28

なぜ、抗がん剤には副作用があるのか?

多くの患者が抗がん剤を使いたがらない理由は、つらい副作用があることでしょう。

抗がん剤はがん細胞と正常細胞を区別せずに攻撃
抗がん剤の副作用はよく知られています。脱毛、吐き気、下痢、倦怠感、手足の痺れ……などです。なぜ、こうした副作用が起こるか、その原因をご存知でしょうか。抗がん剤はがん細胞だけを攻撃するわけではありません。がん細胞は正常細胞の何倍もの頻度で分裂・増殖を繰り返すので、その性質を利用し、分裂中の細胞を傷害するのです。従って、正常細胞であっても分裂中であればダメージを受けます。毛根や腸の内壁などの末端の細胞は細胞分裂のペースが速いため、がん細胞の巻き添えになり、それが様々な副作用を招くというわけです。そして、がん細胞を監視・排除する免疫細胞も、抗がん剤の影響を受けます。がんを治すための薬が、がんを克服する仕組みを阻害している側面もあるのです。

がん治療薬の主流は分子標的薬に
正常細胞には影響を与えず、がん細胞だけを攻撃することは、がん治療の永遠の課題です。近年、新薬の主流は、がん細胞と正常細胞を区別せずに攻撃する従来の抗がん剤から、がん細胞に特異的に発現している蛋白質を目印に作用する分子標的薬になりました。しかし、そういった標的物質は正常細胞であっても少なからず発現しており、程度の差に過ぎません。従って、分子標的薬であっても副作用は避けられません。ただ、分子標的薬はあくまでも細胞の分裂・増殖を抑えるだけで、直接傷害はしないため、副作用はかなり軽微ではあります。

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