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2019-04-04

細胞の内側からがんを叩く「注射する放射線療法」

放射線は照射するだけでなく注射によってもがんを叩くことが出来ます。

アスタチンは甲状腺のがん細胞に集まる
大阪大学のグループが、放射性物質「アスタチン」を使った新たな甲状腺がんの治療に取り組んでいます。アスタチンを注射すると、甲状腺のがん細胞に集まり、α線を発するのですが、従来の放射線治療で使われるβ線に比べて、エネルギーはより大きく、飛ぶ範囲は数十μmと小さいため、正常細胞にはあまり影響を与えることなく、がん細胞を内側から破壊することが出来ます。アスタチンは半減期が約7時間と短く、がん細胞を破壊した後も、放射線の影響が残る心配はありません。マウスを使った実験では、既に効果が確認されており、2年後の臨床試験開始を目指しており、他のがんへの転用についても取り組まれています。アスタチンなどの放射性物質をがん治療に利用することは、以前から行われています。骨転移の痛みを抑えるストロンチウム89、甲状腺がんに対するヨウ素131、前立腺がんに対するラジウム223などの放射性医薬品はいずれも飲み薬として保険適用になっています。

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