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2018-12-19

2種類の抗体で免疫細胞をがん細胞へ誘導する新薬

がんの新薬は今や免疫なしには考えられません。がん細胞と免疫細胞のそれぞれに反応する抗体を持つことで、免疫細胞をがん細胞へと誘導する従来にない作用機序の新薬が登場しました。

血液のがん以外に固形がんにも対応可能
がん治療の軸足は今や免疫にあるといっても過言ではありません。様々な免疫細胞に対するアプローチが行われていますが、数の上では圧倒的に多いT細胞と、がん細胞のそれぞれに反応する抗体(BiTE)を持つことで、T細胞をがん細胞へと誘導する新薬が発売されました。アステラス・アムジェン・バイオファーマのビーリンサイトがそれで、B細胞の表面のCD19、T細胞表面のCD3というそれぞれの抗原に反応する抗体を持っています。現状ではB細胞ががん化する血液のがんが対象ですが、BiTEががん抗原に結合する部位を変えることで他の固形がんなどにも対応出来る可能性があります。

1クール750万~800万円とキムリアよりは廉価
この2種類の抗体を持つことで、T細胞をがん細胞に誘導する新薬は、他社でも開発が進んでいます。また、T細胞をがん細胞に誘導する新薬といえば、T細胞の遺伝子を改変し、CD19 を特異的に認識させるCAR-T(キメラ抗原受容体発現T細胞)のキムリアが注目されました。個々の患者のT細胞を採取し、遺伝子を改変して培養するキムリアのネックは、1クール5000万円超といわれる費用ですが、ビーリンサイトは750万~800万円に抑えられています。

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